アンドリュー・ワイエス〜創造への道程

本日は久しぶりにアートのお話でもアップしますね!
仕事が忙しかったり、展覧会がやけに混んでいることに辟易して、展覧会などへの足が遠のいていた時期がだいぶ続いてきましたが、最近はまた機会を見つけて訪れるようになりました。
それにしても、このアンドリュー・ワイエスの展示会は、いいですよ!
想像していたよりすいてるし!(笑)
なにより、この展示の内容がひじょうに興味深く、いろいろな発見があります。
Bunkamuraでこんなに内容の優れたものを見ることができる日が来ようとは思ってもみませんでした!

アンドリュー・ワイエス〜創造への道程

今回の展覧会の一番よい点は、アンドリュー・ワイエスがどのように作品を完成させていくかを知ることが出来ること。
習作と完成した作品を比べることで、アンドリュー・ワイエスのねらいや思考過程を知ることができます。
作品<火打ち石>もそのひとつ。
生と死をいかに表現するかについて、ワイエスがどのような過程を経て作品を完成させたのかがよくわかります。
石の上に鳥を配置したり、生物の残骸を多く配置したりしながら、自分が本当に描きたいものがなんであるかを探っていく思考を読み取ることができます。
アンドリュー・ワイエス〜創造への道程

ワイエスの緻密なる絵画が、実は写実主義とは異なるものなのではないか、と思わせるのもこの展覧会のよい部分です。
ワイエスアメリカン・リアリズムの代表的な作家といわれていますが、実はさほどリアリズムでないとわかるところがひじょうに興味深い。
この展覧会を見ると、ワイエスが本当に描きたいのはそこにある事実ではなく、彼が解釈したモノやヒトや思想であると分かります。
自分が伝えたいことが他の人によくわかってもらえるように、ひじょうに綿密で練られた意図を以て絵を描いており、それはつまり、描く必要のあること、描かなくてもいいことを見極めて作品に反映させているということです。
ガニング・ロックのトルソを見ても、全体的には詳細まで描かれているものの、不要な部分はラフにまとめられていて、メリハリのきいた作品となっています。
アンドリュー・ワイエス〜創造への道程

「幻影」という作品も興味深いです。
鏡に映った自画像を描いた作品なのですが、これを見る限り、ワイエスはモダンアートのジャンルでもけっこ〜イケたんじゃないかな?!って思わせられます。
シンプルながらも、ひじょうにハイセンスで、普遍の美しさを漂わせています。
全体的に白っぽい雰囲気が未来志向のように感じられて、なかなかおもしろい。
この方向でワイエスの作風が固まっていったとしたら、アンディ・ウォーホールなどと肩を並べる作家になっていたかもしれません。
ぜひぜひ、一度、訪れてみてください!
ワイエスファンの方なら、ものすごく楽しめると思います!